支え合い
人間関係と安全(いじめ・ハラスメント)
生きづらさの大きな原因のひとつは、人から受ける害です。いじめ、ハラスメント、家庭内の暴力や支配。しかも相談した先で、被害を受けた側が「あなたにも原因がある」と言われて、二重に傷つくことがあります。
このページの立場ははっきりしています。害を受けている人を基準に設計します。害を与え続ける人の味方はしません。いじめで、いじめる側に「事情があるから」と味方をしないのと同じです。
どのページも同じ順番で書いています。日本の今 → 困っていること → 改善案 → 比べてみる → 見込めない点 → 実現の道筋。いまの制度は「出発点」であって、「制約」ではありません。世の中の常識や前例に合わせるのではなく、困る人がいちばん減る形を基準に、変える幅も自分で決めて提案します。
1. 線の引き方:診断名ではなく、行動で決める
先に、線の引き方を決めておきます。
- 基準は「行動」です。人を殴る、脅す、無視して孤立させる、人格を否定し続ける。こうした行動があったかどうかで対応を決めます。
- 診断名があるかどうかで、扱いを変えません。診断がある人が全員そうだと言うことはありませんし、診断がないからといって許される行動もありません。診断名で人を括る書き方は、この設計図ではしません。
- 加害を続ける人への対応と、その人への支援は別の話です。支援の入口は用意します。ただし、被害を受けた人の我慢と引き換えにはしません。
2. 日本の今
- 職場のパワーハラスメントについては、事業主に防止措置を取る義務があります(労働施策総合推進法。大企業は2020年6月、中小企業は2022年4月から)。
- 学校のいじめについては、いじめ防止対策推進法(2013年)があります。
- 職場の相談先として、各都道府県の労働局に総合労働相談コーナーがあります。
3. 困っていること
- 相談したら、相談した側が動かされる。配置転換や休職で、被害を受けた人が職場や学校を離れ、加害した側は残る形になりやすい。
- 相談の先で、本人に確認されるだけで終わる。「本人に聞いたら否定しました」で止まり、調べられない。
- 繰り返す人に、段階的な措置がない。注意だけで終わり、同じことが続く。
- 家庭の中の害は、さらに外から見えない。家族だから、という理由で相談先が限られます。
4. 改善案
案1:分けるときは、害を与えた側を動かすのを原則にする
仕組み
- 相談を受けた組織は、7日以内に、被害を訴えた人と、訴えられた人を、業務上いっしょにならないよう分けます(席・シフト・担当の変更)。動かすのは訴えられた側です。
- 被害を訴えた人が異動や休みを希望した場合に限り、そちらを動かします。その場合も、賃金・評価は下げません。
案2:相談から結論までの期限を決める
仕組み
- 受付から7日以内に調査を開始、60日以内に結論(提案値)。14日ごとに、相談した人へ途中経過を書面で伝えます。
- 調査は、社内の人ではなく、外部の調査員(各労働局が名簿を持つ)が行います。小さな会社でも使えます。
案3:相談したことで不利益を受けないようにする
仕組み
- 相談後1年間に、相談者の降格・減給・配置換え・契約打ち切りがあった場合は、「相談が理由ではない」ことを会社側が証明します(立証責任を会社に置く)。
- 違反した会社は、労働局が名前を公表します。
案4:繰り返す人には、段階を決めた措置をとる
仕組み
- 段階:書面の注意 → 警告 → 研修の受講 → 配置の変更 → 懲戒。会社は、この表をあらかじめ就業規則に書いておきます。
- 同じ行動が2回以上認められたら、次の段階に自動で進みます。担当者の裁量で止められません。
案5:組織の外にある窓口に、本人が直接つながれる
仕組み
- 労働局の総合労働相談コーナーに、会社を通さず、電話・メール・チャットで相談できる経路を標準にします。
- 相談の事実は、本人の同意なしに会社へ伝えません。
案6:害を与える人への支援の入口を、別に用意する
仕組み
- 怒りの扱いや対人関係の持ち方を学べるプログラムを、自治体や民間が提供し、本人が自分で選んで受けられます。
- 受講は、措置の段階に影響させません。受講したから処分が軽くなる、とはしません。被害を受けた人の安全が先です。
5. 比べてみる
ハラスメントや暴力の防止制度は、国によって違います。他国の制度は、出典を確認できたものから追記します。
6. 見込めない点・副作用
- 事実の調査には時間も人手もかかります。小さな組織では、調査できる人がいません。外部の機関に任せる仕組みが要ります。
- 「行動」を基準にしても、何が行動にあたるかの線は、場面ごとに議論が残ります。
- 虚偽の申し立てを防ぐ仕組みも要ります。調査の手続きをきちんと踏むことで、双方を守る必要があります。
- 家庭内の害は、組織の外の出来事なので、職場や学校のような仕組みをそのまま当てはめられません。
7. 実現の道筋
- 案2〜4は、法律の改正なしに、組織の規則と運用の見直しで始められます。
- 案3と案5は、法律や行政の運用の強化があるとより確実になります。
- いま困っているときは、全国の労働局の総合労働相談コーナーや、お住まいの自治体の窓口に、相談できます。
※この設計図は医療・法律の助言ではありません。診断や個別の事件の判断はしません。