制作中

この設計図は作成の途中です。数字は出典を確かめたものだけを載せ、推測や提案は「提案」と書き分けています。

支え合い

ベーシックインカム(生活保護の代わり)

「生活保護」という名前には、受ける人を小さくする響きがついています。申請の窓口で理由を説明させられ、親族に連絡が行き、車や預貯金を調べられる。助けが必要な人ほど、その入口の手前で足が止まります。

この設計図では、生活保護を廃止します。代わりに、必要な人に自動で毎月届くベーシックインカムを置きます。名前も仕組みも、「助けてもらう」ものではなく、「みんなが受け取る土台」にします。そして、必要のない人には、最初から払いません。

どのページも同じ順番で書いています。日本の今 → 困っていること → 改善案 → 比べてみる → 見込めない点 → 実現の道筋。いまの制度は「出発点」であって、「制約」ではありません。世の中の常識や前例に合わせるのではなく、困る人がいちばん減る形を基準に、変える幅も自分で決めて提案します。

1. 日本の今

  • 生活に困ったときの最後の線は生活保護です。申請主義で、本人が窓口で申請しないと始まりません。
  • 申請すると、収入や預貯金、車の保有などの調査があり、親族に援助できないかを問い合わせる扶養照会が行われます。
  • 年金は納めた額に比例し、児童手当や雇用保険など、困りごとごとに別々の制度があります。
  • 詳しい現状の分析は社会保障のページに残しています。

2. 困っていること

  • 入口が重い。申請の手続き、調査、扶養照会、世間の目。制度があっても、使えない人が出ます。
  • 制度ごとに線引きが違う。どの制度の対象か分からず、どこにも載らない人が残ります。
  • 働くと給付が減る。少し働いて収入が増えると、給付が減って手取りが増えない壁があります。
  • 世帯単位だと、逃げられない人がいる。DVや虐待の被害を受けていても、世帯の収入として数えられます。

3. 基準

  1. 申請しなくても届く。届かない人をなくす。
  2. 調べない。理由の説明、親族への問い合わせ、資産の調査をしない。
  3. 働いて増えた収入が、手取りの増加につながる。
  4. 個人単位で受け取る。世帯主を通さない。
  5. 足りない人には上乗せする。現金だけでは足りない費用(医療・介護・障害)を、別に手当てする。

4. 仕組み

1. 誰に、いくら、いつ

  • 対象:日本に住民登録をしている人。ただし、前年の所得が一定額を超える人には、支給を止めます(下の「支給の調整」)。本人が希望すれば、受け取りを辞退することもできます。
  • 額(開始時):成人(18歳以上)に月5万円、18歳未満に月2.5万円(提案値)。段階的に引き上げて、最終的には経済のページで算出する「最低限の生活費」から、住居・医療の費用を除いた額にそろえます。
  • 受け取り:毎月、基本口座に自動で振り込まれます。申請は要りません。
  • 子どもの分:子ども本人の口座に積み立て、保護者は子どもの生活のためにだけ使えます。

2. 支給の調整:いらない人には払わない

  • 前年の所得で、支給額を自動で調整します。所得が「非課税枠の5倍」(提案値)までは全額。それを超えると、超えた分の30%(提案値)ずつ減り、一定の額で支給が止まります。一気にゼロにならないので、少し稼ぐと急に損をする段差ができません。
  • 所得は、税制の一覧の仕組みで国がすでに把握している情報を使います。本人に申請や書類を求めません。
  • 支給されたベーシックインカムは、他の所得と合算して課税します。調整で止めきれなかった分や、年の途中で所得が増えた人の分は、税として戻ります。

3. 暮らしの追加給付

現金だけでは足りない費用には、ベーシックインカムに上乗せする別の給付を置きます。

  • 住居:地域ごとの家賃の実態に合わせた住居の給付(住まいのページ)。
  • 医療・介護:現物で提供し、自己負担の上限を設けます。
  • 障害・難病:必要な支援の程度に応じた個別の給付。現行の障害年金・障害者手帳に近い仕組みを、ベーシックインカムとは別に残します。
  • 妊娠・出産・育児:期間と必要に応じた上乗せ。

追加給付は本人の申告で始め、確認は事後に行います。扶養照会はしません。預貯金・自宅・車の保有を、給付の条件にしません(資産は税の側で扱います)。

4. 置き換える制度

  • 生活保護:生活扶助はベーシックインカムへ、住宅扶助・医療扶助・介護扶助は追加給付へ。
  • 児童手当、基礎年金:ベーシックインカムに統合します。
  • 給付付き税額控除(税制の一覧の案):不要になります。
  • 雇用保険:失業時の上乗せとして残します。

5. 移行

  • すでに年金を受けている人は、いまの受給額を下回らないよう調整給付で差額を出し、約20年かけて新しい仕組みにそろえます。
  • 先に始めるのは、子どもと65歳以上です。すでに児童手当や年金で国が把握できている層から入れます。

6. 守る仕組み

  • 差し押さえの禁止:ベーシックインカムが入る口座の残高は、債権者に差し押さえられません。
  • 口座は本人名義のみ:他人が管理する口座に入れる運用を禁止します(DVや搾取の防止)。
  • 個人単位:世帯の収入を理由にした減額はしません。

7. 費用

総額の計算(概算。所得による支給停止を入れる前の数字):成人約1億1,000万人×月5万円×12か月=約66兆円。18歳未満約1,400万人×月2.5万円×12か月=約4兆円。合わせて約70兆円です(人口は概算で、正確な数字は未確認)。所得が高い人には払わないので、実際の総額はこれより小さくなります。どれだけ小さくなるかは、所得の分布を使った試算が必要で、まだ出していません。

これは一般会計税収(2025年度で84兆2,226億円)の8割を超えます。この総額のまま国は回りません。実際の負担は、次の4つで減らします。

  1. 置き換える制度の予算(生活保護、児童手当、基礎年金など)が、そのまま振り替わる。
  2. ベーシックインカムが課税対象なので、収入の多い人の分は、税として戻る。
  3. 各種の控除(配偶者控除、扶養控除など)を、税制の一覧の見直しで整理する。
  4. 税制の見直しで生む新しい財源。

実質の負担がいくらになるかは、まだ試算していません。所得の分布を使った試算が必要です。試算ができるまでは、導入は「子どもと65歳以上」の層から段階的に進め、結果を見て広げます。順序と、財政が危なくならないための安全装置は導入の順序と安全装置のページにまとめています。また、消費税の廃止(約26兆円の財源)と同時に進めるのは、財源として無理がないかを、試算で確認する必要があります。

5. 比べてみる

項目生活保護(現状)提案(ベーシックインカム)
受け取り方申請して審査される必要な人に自動(所得が高い人は止まる)
調査収入・預貯金・車、親族への問い合わせなし
単位世帯個人
働いたとき収入に応じて減る減らない(税として戻る)
足りない費用扶助の種類ごと暮らしの追加給付

他国の例として、フィンランドが2017〜2018年に、無作為に選んだ失業者2,000人へ月560ユーロを払う実験をしました。就労日数は受給者が平均78日、失業手当の受給者が73日で、差は統計的に意味のある差ではありませんでした。一方で、受給者の精神的な安心や生活への満足度は上がりました(報道ベース。GIGAZINE)。ただし、一部の人を対象にした実験で、全国民に払った例ではありません。

6. 見込めない点・副作用

  • 財源。最大の問題です。上のとおり、総額が大きく、未試算です。
  • 家賃など、物価への波及。全員に現金が入ると、家賃が上がって効果が薄まる可能性があります。住居の給付と、土地価値税、公営住宅で抑える必要があります。
  • 働く意欲。フィンランドの実験では、大きな低下は見られませんでしたが、規模が小さく、期間も短い実験でした。全国民に長く払ったときの影響は、確認できていません。
  • 現金だけでは足りない人。重い障害や難病の人は、定額では足りません。追加給付の水準が、この設計の中心です。
  • 外国籍の人や、住民登録のない人。対象の線をどこに引くかは、決まっていません。
  • お金の使い方に不安がある人。悪質な勧誘や、依存の問題があります。口座の保護と相談所(国が運営する施設)で支えます。

7. 実現の道筋

  • 法律の改正が必要です。生活保護法の廃止、ベーシックインカムの新設、年金・児童手当の統合。
  • 先にできること(運用の見直しで足りる):扶養照会をやめる、資産や車の保有の条件をゆるめる、申請を簡単にする。
  • 基本口座が整うことが前提です(国が運営する施設)。

※個別の生活の相談や、いま受けている給付の手続きの助言ではありません。数字は報道・公的資料に基づく概算を含み、「提案値」は叩き台です。